突然ですが、この地球上にどれくらいのニオイの種類が存在していると思いますか?
香水やデオドラント、食べ物、外気のニオイ、現代社会では数多くのニオイ、わたしたちは知らぬ間にニオイに触れていますね。
わたし自身せいぜい数百種類かと思っていたところ、実際には40万種類以上のニオイが存在するとのこと。
そして、その中でも嗅ぎ分けることができるのは、たった数千種類だけです。
つまり、ほとんどのニオイを、人間は嗅ぎ取ることが出来ないのです。
しかし、これだけ種類があるにもかかわらず、ニオイは頭の中で思い出せると思いませんか?
今回はそんな嗅覚のメカニズムと人へ与える印象の仕組み、そして心理について掘り下げていきたいと思います。
この香りの仕組みを上手く利用することで、人へ与える印象さえもコントロールすることができるのです。
人の感情をコントロールしてみたい、そう思ったことはありませんか?
嗅覚とは?匂いは脳に刻まれ記憶と結びつける!その仕組みとは?
嗅覚=においの感覚のことです。
普段、意識をすることもなく、あたりまえのように使っている嗅覚です。
人、物、空間、それ以外にも数え切れないほどのニオイを嗅ぎ分けたり、または嗅覚によって情報を得たりと、あらゆる場面で嗅覚は活用されています。
ふとすれ違った時にこのニオイが好き、でもあのニオイは苦手、そんな風な経験は誰しもあるでしょう。
情報を得るだけではなく、ニオイの好き嫌いが記憶として、鮮明に残るのもこの嗅覚の特徴です。
- 嗅覚で匂いを嗅ぎ分けたり情報を得る
- 数千種類しか嗅ぎ分けることができない
じつはニオイの好き嫌いは、後天的な要因の影響が強く、幼少期の食事や食事の習慣、体験が大きく影響するそう。
それだけでなく、外部からの情報によって、ニオイの好き嫌いに影響を与えることもあります。
そして嗅覚は、香りと記憶を結びつけます。
たとえば、この部屋のニオイを嗅ぐと数年前のあの人のことを、あの出来事を思い出すなど、当時の記憶さえも呼び起こします。
なぜ、嗅覚はニオイを嗅ぐだけではなく、それと同時に記憶なども呼び起こすのか?じつは嗅覚と脳に密接な関係があるからなのです。
匂いが記憶に直結!五感の中で嗅覚だけが持つ特徴
人間には五感と呼ばれる、視覚、聴覚、触覚、味覚、そして嗅覚があります。
嗅覚以外の4つの感覚に関しては、嗅覚と大きな違いが一つあります。
嗅覚以外の4つの感覚は、シグナルが脳の視床という部分を経由する点です。
視床で、情報をある程度整理した上で、大脳辺縁系に届きます。
- 嗅覚は唯一直接脳に届く
- 記憶に残りやすくなる
情報を整理するというと、記憶がまとめられ、より鮮明に記憶が残るようなイメージですが、実際には違います。
記憶自体が変化してしまったり、一部分を捨ててしまったりと、大脳辺縁系に届くまでに一つの作業が挟まれてしまうのです。
しかし、嗅覚だけは視床を通さず、直接、大脳辺縁系にはたらきかけるのです。
つまり嗅覚だけは、直接的に大脳辺縁系にはたらきかけます。
結果、嗅覚で感じたことをより強く、そして鮮明に脳へ記憶として印象付けることになるのでしょう。
そして、その記憶は数時間や数日前のことではなく、数年前、数十年前の記憶さえも呼び起こすこともあります。
大脳辺縁系は、人間の本能や感情をもっとも強く揺さぶる部位なのです。
匂いが記憶を呼び起こす・プルースト効果・現象
「プルースト効果」という言葉を聞いたことはありますか?
じつは、何かの香りを嗅いだ時に、当時の感情や記憶がよみがえることをプルースト効果と呼びます。
このプルーストというのは、20世紀のフランスの小説家の名前にちなんでいます。
プルーストの書いた小説『失われた時を求めて』の一場面が関係しています。
作中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りから過去の記憶を呼び起こした体験がありました。
その体験が、本書で描かれたことが発端となった模様です。
- 匂いによって記憶を呼び起こす
- 匂いが与える印象は鮮明である
興味のある方は是非読んでみて下さい。日本語では400字詰めの原稿が1万枚におよぶほどの、大長編小説とのことです。
このプルースト現象からわかることは、ふだん何気なく嗅いでいるわたしたちの香りが、どれだけ気づかぬ間に人の印象を作っているかということです。
思い出や当時の感情とともに、パッケージとして深く記憶されていたことが判断できますね。
それは意識的に行っているのではなく、息を吸うのと同じように自然に感じ取り、そして無意識に蓄積されていることが、なにより注目すべき点です。
自覚なしで気づかず異臭を放つ・嗅覚は衰えてしまう
匂いと記憶のあいだには、強い結びつきがあることが分かりました。
しかし、人間の感覚は老化によって機能が低下していきます。
嗅覚は年齢を重ねるごとに、他の部位と同じように衰えが顕著に現れてしまいます。
つまり、自分自身のニオイにも気付きにくくなってしまうということ。
- 加齢にともない嗅覚は衰える
- 生活の質も低下してしまう
さらに自分自身のニオイには順応すると言われ、慣れてしまうため、余計にニオイに鈍感になってしまうのでしょう。
もちろんそれだけではありません。
嗅覚が衰えてしまえば、例えばガス漏れや、食べ物の腐敗などにも気付きにくくなります。
すなわち生活の質も低下し、日常生活に支障が出てしまうこともあるでしょう。危険をともなう可能性があります。
単純に自分のニオイに気づかないことだけではなく、さらなる弊害も考えられるということです。
嗅覚を鍛えることで克服する
しかし、衰えを治す治療法は、残念ながら現在確立されていません。
だからこそ、日常的にニオイを意識的に嗅ぐことが、とても大事になります。
あまり見栄えが良いとは言えませんが、食事が出てきたら匂いを嗅ぐ。
コーヒーや紅茶を飲む前に匂いを嗅ぐ。たったこれだけでも構いません。
- 匂いを嗅ぐ習慣をつける
- 嗅覚をトレーニングする
それが嗅覚の強化へと繋がります。外食では難しいかもしれませんが、自宅で思い出したときにやってみるのも良いでしょう。
これからすこしでも意識を持ちながら、日常生活を送ってみてください。
また、体臭や口臭など、ときには自分自身の判断に頼るだけではなく、他人や専門家の意見も取り入れることです。
それがもっとも確実で、安心できるニオイとの向き合い方でしょう。
使い方次第・匂いを操ることが人の印象も変えることができる
匂いが与える印象は、良くも悪くも、人の記憶の中に深く刻まれることが分かりました。
良い印象を与えることができれば、それが良い印象として強く残ります。
逆に悪い印象を与えてしまえば、それが強く悪い印象として残ります。
嗅覚というのは、使い方によってはプラスにもマイナスにもなりうるのです。
とくに深く付き合うことが出来なければ、嗅覚による情報を頼りにして、第一印象などを決めてしまうこともあるでしょう。
- 嗅覚は印象を決める
- 使い方次第で印象をコントロールできる
人間関係を作っていくうえで、第一印象が大きな分かれ目になってしまうことも多いです。
もっと言えば、自分自身の今後や将来に大きく関わってくるともいえます。
大切なのは、匂いに関して日々意識を持ちながら、管理をして上手く活用していくことです。
他人事になることなく、日々匂いに向き合っていくことが大切かもしれませんね。
今回のまとめ
日常にあたりまえのように溢れているニオイが、ここまで深く脳に刻み込まれ、思い出として残っていくことが分かりましたね。
そして、見た目や言動だけではなく、ニオイが人に与える影響というのは、とてつもなく大きな割合を占めていることが、示唆された点も見逃せません。
つまりニオイをコントロールし、デザインしていくことが、人間関係やもっといえば社会を形成するにおいて、欠かせない要素であるのか、明確に示されていますね。
これは、現代人にとってニオイが、生きていく上で、無視することが出来ない要素の一つであることが、証明されたといえるでしょう。
あとがき
今回の嗅覚のメカニズムについて知り、どのように感じたでしょうか?
普段ここまで、ニオイについて深く考えることはありませんでしたが、これをきっかけにさらに奥深く、興味が沸くことであると実感出来ました。
知らぬ間にニオイによって、人への印象や自分自身の記憶に残っていること。
自分でも思い返してみると、ニオイによってさまざまな記憶が呼び起こされることがありました。
ただのニオイが、嗅いだ瞬間に思い出として蘇り、そしてその当時の感情なども同時に思い出させるんです。
逆に言えば、人に良い印象を与えたいと思った時には、自分自身のニオイをしっかりと管理し、デザインし演出することが大切です。
それが、印象を変える最短距離で、確実な方法であることが分かりますよね。
これを具体化して考えていけば、仕事での営業、プレゼン、または恋愛においても転用していけるのではないでしょうか?
アナタなりの使い方を見つけ役立ててみて下さい。あなたの人生もこの知識活かすことによって、変えることが出来るはずです。
あなたの悩みがひとつ消えますように。最後まで読んでいただき有難うございました。