香りや匂いは自分自身が楽しんだり、人に与える印象を変えたり、時にはお店のイメージを演出したりと、さまざまな形でわたしたちの生活に溶け込んでいます。
電車の中、衣類、カフェ、美容室などありとあらゆる場所で、香りや匂いに接する機会は多いですよね。
しかし、そんな日常生活における香りや匂いを苦手としている人々が、一定数存在します。
そんな香りの害と言われる「香害」の存在に、今注目が集まっています。
香害とは、香りの中でも、柔軟剤や石鹸に含まれる成分によって、化学物質過敏症を引き起こす問題のことです。
今回はその「香害」の実態や対策について、詳しく紹介しましょう。
職場・学校・電車内で起きる・知っておくべき香害問題
「香害」と聞いてイメージするのは、香水やコロンなどの匂いかと思いがちです。
しかし、国民生活センターに寄せられる相談が多いのは、意外にも柔軟剤だそう。
一昔前までは、柔軟剤はそこまで多く家庭には浸透しておらず、相談もあまり寄せられませんでした。
しかし、海外の柔軟剤メーカーの存在が知られると同時に、爆発的に家庭にも普及した背景があります。
- 相談件数が多いのは柔軟剤
- 香水やコロンなども
今ではCMをはじめとした広告でも、洗剤や柔軟剤のCMは多いですよね。
それだけ香りを必要としている人が多く、広く普及している証拠とも言えるでしょう。
わたし自身も柔軟剤は普段から愛用していますが、正直に言えば、周囲への柔軟剤の香りの影響を考えずに使っていました。
とはいえ、思い返してみると香りが好きなわたしでも、電車内で柔軟剤や強い香水の匂いに嫌悪感を抱いた経験があることに、気付かされたのです。
香水の香りに好き嫌いがあるように、香り時代に好き嫌いもあるのです。
じつは気づかぬうちに周囲に香害を起こしている可能性もありますので、それを未然に防ぐためにも実態について知っておきましょう。
頭痛や吐き気・香害の症状と実態とは?
香害による被害は、単純な香りや匂いへの嫌悪感だけではありません。
身体に症状として表れることもあるため、問題は根深いです。
下記はほんの一部ですが、このような症状が表れます。香りを感じるだけで、ひどい症状が表れてしまうのです。
- 頭痛やめまい
- 吐き気
- 咳や喘息
- 思考力の低下
さらには体調不良も深刻です。
なぜなら、職場や学校、ひいては外出すること自体が困難になる場合もあるため、より被害は深刻です。
以前では、考えられなかった被害が柔軟剤などの普及により、発生しています。
しかし、柔軟剤や石鹸などを取り扱う企業は規模も大きく、この実態を伝える媒体はさほど多くありません。
テレビ業界はCMなどの広告で成り立っているため、企業のマイナスになることを伝えることはしないのです。
わたし自身も含めて香りや匂いが好きな人々は多いですが、もちろん柔軟剤や石鹸がすべて悪というわけではありません。
ただし、被害が存在している人々がいることも忘れてはなりませんね。
化学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう)
なぜ、身体に症状として変化が起こるのか、それは化学物質過敏症が関係しています。
化学物質過敏症は、人それぞれの人体の化学物質や薬物の許容量を超えると引き起こされると言われています。
花粉症のように一定値を超えると、症状が出始めます。
- 人体の化学物質や薬物の許容量を超えると引き起こされる
- ごく一部にしか発症しないため理解されにくい
- 海外の商品に比べてアレルギー物質の表記が乏しい
今回のケースでいえば、柔軟剤や石鹸に含まれる化学物質に身体が反応し、前述の症状が出てしまいます。
さらには、人体の許容量はそれぞれ違います。
多くの人には受け入れられても、一部の人には受け入れられない、という状況が発生しているのでしょう。
2014年に洗剤などのアレルギーに関する検証が行われた
2014年に静岡の環境衛生科学研究所による検証は、とても興味深いものでした。
検証では、商品に含まれる成分の含有量などのテストが行われました。その際に、柔軟剤の香り成分に、アレルギーを引き起こす可能性がある成分が含まれていたのです。
しかし、それだけに問題はとどまりません。
- 海外での禁止成分の使用
- 日本では自粛を推進
じつは海外の化粧品に関する法令内で、アレルギー物質として表示が義務付けられていた成分が、含まれているだけではありませんでした。
そのほかにも、燃料として用いられる揮発性有機化合物(VOC)も含まれていたことが判明したのです。
経済産業省では、この揮発性有機化合物(VOC)の事業者による発生を自粛する推進をしていました。
それだけで、環境への影響や人体への影響が考えられることもカンタンに推測出来るでしょう。
【マスクと環境の改善】香害に対する工夫や対策
香害対策は香りを楽しむ人に比べて、数で言えば圧倒的に少ないために、中々世間にはこの問題が深刻に伝わらない現状があります。
もちろん香り好きや楽しみたい人にとっても、過剰に香料のするものをつけすぎたりしないことは大切ですね。
ちょっとした気遣いが、香りに敏感な人にとっての、寄り添いになるでしょう。
基本的にはマスクで対策・匂いと成分の侵入を防ぐ
化学物質過敏症に苦しんでいる人に行える対策として、もっとも効果的と言われているのが、マスクの着用です。
調べてみると通常のマスクよりは、さらに強力に匂いや化学物質などを防いでくれるものが有効なようです。
フィルター入りのマスクなど、そのひとつでしょう。
- マスクの費用などの医療費が控除される場合もある
- もっとも簡単で確実な対策
たとえば、マスクを複数枚重ねる方法や、活性炭フィルターのマスク、空気清浄機なども有効です。
そして、ここがポイントです。
さらに調べてみると、化学物質過敏症による医療費、またはマスクの費用などは医療費控除されるそう。
マスクの費用なども、短い期間で見れば少ない負担でも、長期間で見れば莫大な負担になります。
しかし、費用は補助されますので、利用するようにしましょう。
これが基本的な対策となります。
次に、実生活で意識して行うことを見ていきましょう。
日頃からしておくべき4か条
- 換気や空気清浄機により空間づくり
- 化学物質を含む製品を置かない
- オーガニック食品や自然物の摂取
- 体質改善で根本的な解決
換気や空気清浄機による空間づくり
まず、化学物質過敏症が起こらない自宅の環境づくりです。
自宅周辺の空気がキレイなことが前提ですが、定期的な換気や空気清浄機を利用することにより、徹底した化学物質を排除することです。
- 定期的な換気の習慣
- 空気清浄機の利用
そして、常に新鮮で清潔な空気を取り入れるようにしましょう。
生活空間の空気をキレイにしておくことが、もっとも基本的な対策といえるでしょう。
化学物質を含む製品を置かない
つぎに、周辺の環境にも意識を向けましょう。
自宅や身の回り周辺には、化学物質が含まれたものを置かないこと。
- 化学物質の製品を確認する
- 室内に持ち込まないような意識
やむを得ず置かなければいけない場合は、自宅の外に置くのも対策の一つですね。
そして、万が一自宅へ持ち込む場合のポイントはカンタンです。掃除をしたり、外から持ち込んだものは、拭き取ることも大切です。
備長炭などは、化学物質を吸着する性質があるため、自宅内に置くのも効果があるでしょう。
オーガニック食品や自然物の摂取
食事は避けては通れないポイントのひとつです。
そこで、日頃の食事も意識をして、口にするものをきちんと選ぶようにしましょう。
- 有機栽培の食材
- 無添加・無農薬など
有機栽培のオーガニック食品や、無添加無農薬のものを確認して選ぶことです。
肉類や卵は飼料が安全なもの、魚介類は天然のものを意識的に取り入れていくことが、安全な食品選びの方法です。
体質改善で根本的な解決
最後に体質を改善し、根本的に改善する方法です。
規則正しい生活、適度な運動、バランスの良い食事の徹底です。
化学物質は体内の脂肪に蓄積されるため、脂肪を燃焼することが体内の化学物質を減らすことにも繋がります。
- 脂肪の燃焼習慣
- 自律神経の正常化
また、規則正しい生活を送ることによって、自律神経の機能が正常に働きます。免疫力を高めるホルモンであるメラトニンが生成されるでしょう。
そして、バランスの良い食事をしながら健康管理をきちんとすること。
化学物質などの体内にとって好ましくない物質は、ミネラルやビタミンによって外へ出されます。意識的に摂るようにしましょう。
今回のまとめ
正直なところ、この香害という問題について調べるまで、わたし自身も全く知りませんでした。
香りを楽しんだりすることを、これを機に辞めたりする必要はありませんが、香害や香害で苦しんでいる人が知ることは、大切なことですね。
今マスクを着用している人は非常に多いですが、理由は風邪、花粉症、お化粧をしてしない時、さまざまな理由があります。
どんな理由でマスクを着用していても自由ですし、何も悪いことはありません。
ただ、もしマスクを着用している人の100人に1人でも香害で苦しんでいる人がいるという、認識は持っておくことが必要かもしれませんね。
あくまで節度を保ちながら、香りや匂いを楽しみましょう。
それが結果的にさりげない香りや匂いとなり、さらに香害に苦しむ人への配慮にも繋がりますね。
そのほかにも、さまざまなニオイの問題が起こっているので、自分が原因とならないように確認してみてください。
あなたの悩みがひとつ消えますように。最後まで読んでいただき有難うございました。